なぜ事実無根の噂が、これほど長期間にわたってネットコミュニティで拡散され続けるのでしょうか。SNSや5ch(旧2ch)・なんJにおけるファンの投稿パターンを分析すると、そこには明確な心理的メカニズムが存在します。
第一に挙げられるのが、高校野球という「青春の象徴」に対する強烈なノスタルジーです。甲子園の決勝で涙を呑んだ広陵高校の野村・小林バッテリーが、十数年の時を経て同じプロ球団のユニフォームを着てバッテリーを組むという展開は、少年漫画のような劇的カタルシスを帯びています。ファンは現実的な球団経営や勝敗の損益計算ではなく、エモーショナルな物語を求めて移籍の可能性を語り合っているのです。
第二に、小林誠司という選手の稀有なキャラクター性が関係しています。端正な容姿と世界大会(WBC)でも見せた勝負強さ、卓越した守備力を持ちながら、巨人では打撃面や正捕手争いで苦境に立たされる時期が続きました。この「不遇の天才」に対するファンの庇護欲と、「地元色豊かなカープに行けばもっと輝けるのではないか」という同情心が結びつき、噂の拡散に拍車をかけました。