「熱が下がっていれば誰にも気づかれない」「風邪と押し通せばバレるはずがない」という目論見は、現代の職場環境や医療情報システムの前では極めて脆弱です。インフルエンザを隠して出勤した事実が明るみに出る代表的なルートには、以下のような動かぬ証拠が存在します。
最も多い発覚ルートは、「周囲への二次感染によるクラスター発生と行動調査」です。隠蔽して出勤した本人の周辺席や同じプロジェクトチーム内で、2〜3日後にインフルエンザ発症者が連鎖した場合、社内の衛生管理者や人事部によるヒアリングが実施されます。感染源の特定が進む過程で、「そういえば〇〇さんが数日前にひどく咳き込んでいた」「薬局の袋を持っていた」といった同僚の目撃証言から外堀が埋まっていきます。
次に、「健康保険の利用履歴(レセプトデータ)や診断書の提出要求」です。会社が就業規則に基づき、連続欠勤や感染症流行期の復職に際して「医師の診断書」または「治癒証明書」の提出を求めた場合、虚偽の病名を記載させることは不可能です。また、健康保険組合を通じて発行される医療費通知(レセプト)には、受診した医療機関や処方された薬剤(タミフル、リレンザ、ゾフルーザ、イナビルなど特異的な抗インフルエンザウイルス薬)の記録が残るため、後日労務担当者に確認されて虚偽報告が白日の下にさらされるケースもあります。
さらに見落とせないのが、「業務中の急激な容態悪化」です。解熱剤の効果が切れた午後に高熱がぶり返し、職場内で倒れて救急搬送された結果、搬送先の病院での検査でインフルエンザ陽性が発覚するという、取り返しのつかない事態に陥る事例も報告されています。