長年通い詰めるクラシック愛好家や音響エンジニアの間で、ザ・シンフォニーホールの評価はどのように下されているのでしょうか。SNSや各種レビュー、音楽フォーラムに寄せられる率直な意見を検証すると、共通するリアルな手応えが浮かび上がってきます。
「弦楽器のユニゾンが空気に溶け込んでいくような感覚は、関東のサントリーホールとも異なる温かみがある」「ピアノリサイタルでの減衰音の消え際がどこまでも美しく、息をするのさえ躊躇われる」といったアコースティックの濃密さを称える声が多数を占めます。当時の特番インタビューや関係者の回想録でも語られている通り、建材の木材選定から客席シートの吸音率測定に至るまで徹底したシミュレーションが行われた成果が、現在もそのまま機能しています。
一方で、現場観察から見えてくる注意点も存在します。残響が2秒と極めて長いため、編成が極端に大きい現代曲や金管主体の爆音曲では、1階席前方に座ると「音が飽和してディテールが聴き取りにくい」と感じるケースがあります。また、P席(ステージ後方席)では歌手の歌声や木管楽器の音が前方に飛んでしまい、直接音がやや減衰して聴こえるという物理的特性はあらかじめ織り込んでおく必要があります。