映画『アウトレイジ』を語る上で欠かせないのが、大友組若頭・水野(アウトレイジ)が辿った凄惨かつ強烈な最期だ。敵対組織の奸計にはまり、車の後部に首を固定された状態で一瞬にして命を奪われるあのシーンは、公開当時から観客にトラウマ級の衝撃を与えた。血生臭い抗争が続く劇中においても、これほどまでに残酷かつ計算し尽くされた殺害シチュエーションは稀有と言える。
この場面の撮影において椎名桔平は、監督が意図する「一瞬の恐怖とあっけなさ」を見事に表現した。特注のワイヤーギミックとカメラワークが融合した緊迫の撮影現場では、一歩間違えれば重大な事故に繋がりかねない極限の緊張状態が保たれていたという。恐怖に顔を歪ませる迫真のリアクションは、CGに頼らない実写映画ならではの泥臭い凄みとリアリティを画面全体に与えている。