かつての琵琶湖大花火大会は、大津港周辺の一画に30万人以上の観客が押し寄せる構造的課題を抱えていた。JR大津駅や京阪浜大津駅の混雑はピーク時に群衆雪崩の危険すら孕み、安全確保の現場は限界に達していた。1本の幹線道路に人が溢れ、救急車両の通過すら危ぶまれた夜の記憶は、運営側にとって苦い教訓となっている。
今年、主催者が決断したのは、南湖エリアを囲む3つの都市から同時に大玉を打ち上げるという抜本的なシフトだ。打ち上げ地点を複数に切り離すことで、観客の視線と物理的な滞留地点を物理的に引き剥がす。どこか一箇所に留まらなくても、湖畔の広い範囲から迫力ある大輪を楽しめる設計へ。これは伝統的な花火大会の概念を根本から変革する挑戦に他ならない。