氷川きよしに関するセクシュアリティの話題は、今に始まったことではありません。デビュー直後から端正な顔立ちと爽やかな笑顔で「お茶の間のアイドル」として絶大な人気を誇る一方、プライベートの恋愛動向については常に週刊誌各社による徹底的な取材対象となってきました。その中でも特に大きな波紋を呼んだのが、2010年に写真週刊誌「FRIDAY(フライデー)」によって報じられた俳優・松村雄基との親密交際報道です。
報道では、都内の飲食店で食事を楽しんだ後、氷川の自宅マンションへと向かう姿が捉えられ、松村が氷川のパンツのポケットに指を引っ掛けて歩く様子などが克明に描写されました。当時、芸能界きっての硬派俳優として知られていた松村と、国民的演歌歌手である氷川の取り合わせは世間に強い衝撃を与えました。その後、2014年にも再び2人の関係が一部メディアで取り沙汰されたほか、過去には平井堅など複数の男性タレントとの交際説がネット上で噂された経緯があります。
しかし、報道各社の取材や公式発表資料を精査しても、本人が特定の男性との交際を公式に認めた事実や、明確に「同性愛者(ゲイ)である」とカミングアウトした記録は存在しません。当時の芸能界における同性愛報道は、現在よりもはるかにセンセーショナリズムや好奇の目に晒されやすい構造にあり、事務所側も一貫して「親しい友人の一人」としてプライベートの詳細については明言を避けてきました。こうしたメディア側の加熱したスクープ報道と公式の沈黙というギャップが、ネット上で長年にわたる「ゲイ疑惑」を形成する最大の要因となったのです。