厨房設計の観点からも、この空間には細部まで徹底したこだわりが貫かれている。客席と焼き台の距離感、煙を一切感じさせない特殊な吸気システム、そして調理器具が叩く音すら心地よいリズムに変わる音響設計。すべての要素が綿密な計算のもとに作られている。
排気口の位置ひとつ取っても、シェフの視線を遮らず、かつ香りを客席側へ程よく届けるためのミリ単位の調整が施されているという。職人が道具を扱う所作、研ぎ澄まされた包丁の刃先、そして焼き上がる音。五感を満たさずにはいられない緻密な「演出」が、カウンターに座る者の期待感を極限まで高めていく。