ヒジキは黒くない。海の中では、黄金色だ。
海中で生きて生長しているヒジキは、鮮やかな黄褐色やオリーブブラウンの色合いを呈している。この色の正体は、褐藻類特有の光合成色素である「フコキサンチン」だ。クロロフィルの緑色をフコキサンチンの色素が覆い隠すことで、海中で独特の黄金色に輝いて見える。
海中で生きている生のヒジキを手にとってみると、ゴムのような強い弾力と硬さがある。指で押し潰そうとしても簡単には潰れない。さらに、噛み切ろうとしても強い繊維質が邪魔をし、口の中に強い渋み(タンニン)が広がる。食卓に並ぶ柔らかく甘みのある煮物とは、似ても似つかない存在感だ。
この弾力と渋みこそが、過酷な海洋環境を生き抜くためにヒジキが獲得した生物学的な防御メカニズムである。