本作の原点である集英社オレンジ文庫から刊行された青木祐子による原作小説は、緻密な取材に基づいた圧倒的なリアリティを誇る。経理という、一見すると地味に思われがちな職種にスポットを当て、領収書一枚から人間の欲望、ズルさ、そして優しさを浮き彫りにした手腕は見事というほかない。
劇中で描かれるトラブルの数々は、単なるフィクションにとどまらず、実際のオフィスワークでも起こり得る絶妙なラインを突いている。領収書の裏に隠された個人的な事情や葛藤に気づきながらも、あくまで仕事としての線引きを守ろうとする主人公の葛藤は、青木祐子の卓越した心理描写があればこそ、多くの働く人々の共感を集めたのだ。