ドラマ『好きな人がいること』において、作品の牽引力となった最大の要因は、山﨑賢人が演じた柴崎夏向(しばさき かなた)の卓越したキャラクター造形にあります。海辺のレストラン「Sea Sons」で料理を一手に引き受ける妥協なきシェフでありながら、人当たりは極めて冷淡。ヒロインの美咲に対して浴びせる「お前、バカじゃねぇの」という痛烈な毒舌と、時折見せる包容力に満ちた眼差しとのギャップは、視聴者の心を瞬く間に鷲掴みにしました。
当時の山﨑賢人は映画『ヒロイン失格』や『オオカミ少女と黒王子』などで少女漫画の実写化ブームを牽引していましたが、本作のスキコトで見せた衣装・髪型のスタイリングは、従来の学園モノとは一線を画す「大人の男の色気」を纏っていました。湘南の陽光に映えるブロンズ肌、ラフでありながら洗練されたサーフカジュアルの私服、そしてタイトな黒のコックコート。視覚的なリアリティとプロフェッショナルとしての説得力が、単なる胸キュンキャラクターに留まらない骨太な存在感を生み出していたのです。