固縮とは、四肢や体幹の筋肉の緊張(筋トーン)が異常に高まり、他人が関節を動かそうとした際に持続的な抵抗を感じる状態を指します。医学的には「筋強剛」と同義で用いられ、自覚症状としては「体が重だるく硬い」「手足の動きがぎこちない」といった形で現れます。
なぜ筋肉が勝手に硬くなってしまうのか、その発症メカニズムの鍵を握るのが脳の「錐体外路(すいたいがいろ)系」です。私たちが滑らかに手足を動かす際、大脳皮質からの指令だけでなく、大脳基底核と呼ばれる部位が運動のブレーキとアクセルを絶妙に調整しています。この調整役である中脳黒質の神経細胞が変性し、神経伝達物質であるドパミンが減少すると、運動抑制のシグナルが乱れ、筋肉を緊張させる信号が過剰に送り続けられます。
その結果、屈筋(曲げる筋肉)と伸筋(伸ばす筋肉)の双方が同時に緊張してしまい、関節をどちらの方向に動かそうとしても均一に強い抵抗が生じるのです。この錐体外路障害による筋トーヌスの亢進こそが、固縮の本質です。