順風満帆に見えた人生に突如として影が落ちたのは、2017年10月のことだった。自転車での移動中に路上で倒れ、頭部を強打。急性硬膜下血腫による緊急手術が行われ、一時は意識不明の重体となった。
生死の境をさまよう夫の枕元に立ち続け、声をかけ続けたのが妻だった。医師団の懸命な処置と、何よりも本人の驚異的な生命力、そして家族の献身的な看護によって、奇跡的に意識が回復。そこから始まったリハビリは、現役時代の過酷な稽古にも匹敵するものだった。言葉を取り戻し、自らの足で立つまでの地道な一歩一歩は、まさに不屈の闘志の証明だった。