2000年代当時、アイフル株式会社が展開した広告戦略は、マーケティング史においても極めて画期的な出来事として語り継がれている。それまで消費者金融業界が打ち出す広告といえば、無機質な案内や堅苦しいイメージが先行しがちだった。どこか心理的なハードルを感じる視聴者も少なくなかった時代である。
その冷ややかな壁を打ち砕いたのが、芸能・広告業界を揺るがしたあの柔らかな映像世界だ。ダンディで知的な紳士が、小さな犬の視線にタジタジになりながら問いかける。このユーモラスかつ人情味あふれるアプローチは、サービスに対する心理的距離を一気に縮めることに成功した。
ブランドイメージの刷新にとどまらず、業界全体の広報手法そのものにパラダイムシフトをもたらした。企業のメッセージを力強く叫ぶのではなく、視聴者の心に寄り添うように静かに置く。その先進的な手法は、今なお広告研究の現場で高く評価されている。