北見の夜は早い。だが、灯りがともるのも早い。人口あたりの焼肉店数が北海道内でトップクラスを誇るこの街では、肉を焼く煙こそが日常の風景だ。驚くべきは、その集積度である。駅から歩いてわずか5分圏内に、数十軒もの焼肉店が所狭しと軒を連ねている。
定番は牛サガリと豚ホルモン。味付けは塩と胡椒、あるいは各店秘伝の生ダレだ。タレに漬け込んだ肉ではなく、新鮮な生肉を炭火でサッと炙り、特製ダレにくぐらせるのが北見流。新鮮さの理由は、かつて市内にあったと畜場からの目利きと仕入れルートが今なお生きているからに他ならない。厳冬期の真冬に屋外で肉を焼く「厳寒の焼肉まつり」は今や全国的な名物イベントとなり、2026年の今年も航空券の争奪戦が起きるほどの盛り上がりを見せた。