AV新法(正式名称:性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図ること等に関する法律)は、出演者の尊厳と人権を守る目的で全会一致に近い形で可決・成立しました。法律の骨子は、出演契約から撮影、公表、契約解除に至るすべてのプロセスにおいて厳格な規制を課す内容となっています。
具体的には、契約締結から撮影までに1ヶ月以上のインターバルを義務付け、さらに撮影終了から作品の公表(リリース)まで4ヶ月以上の猶予期間を設けることが定められました。もっとも物議を醸したのが、作品が公表された後でも、出演者が理由を問わず無条件で契約を解除でき、制作会社は販売停止・回収を行わなければならない「契約解除権(取消権)」の付与です(施行当初は公表後1年間、経過措置終了後は公表後2年間)。
法案成立の背景には、過去に起きた悪質なスカウトによる出演強要事件や、18歳・19歳が親の同意なく契約を結べるようになった民法改正への強い危機感がありました。しかし、立法プロセスの段階で現役の職業従事者や業界団体への十分なヒアリングが行われないまま、極めて短期間で拙速に制度設計が進められたことが、今日の深刻な機能不全の引き金となりました。