家族社会学および発達心理学の観点からカワキの内面を分析すると、彼の行動は重度の愛着障害と「心理的バウンダリー(自他境界)」の完全な崩壊として極めて論理的に説明できます。
幼少期に暴力を振るう実父と人身売買を行ったジゲンという「2人の絶対的加害者」しか知らずに育ったカワキは、健全な人間関係の築き方を知りません。そこに現れたナルトは、彼にとって「世界で唯一の安全基地」であると同時に、失えば自己の存在価値が完全に消滅してしまう神聖不可侵な絶対神となりました。
心理学における「スプリッティング(白黒思考)」に囚われたカワキにとって、世界は「ナルトを守る自分」と「ナルトを脅かす敵(大筒木・ボルト)」の2極しか存在しません。相手の尊厳やボルト自身の意志といった他者の領域を尊重する心理的バウンダリーが機能せず、「相手を閉じ込めてでも生かすことが究極の愛である」という危険な共依存関係へと突き進んでしまったのです。
この歪んだ執着から脱却し、彼が「他者の尊厳を認めた上での真の自立」を果たせるのかどうかこそが、第2部『BORUTO-ボルト- -TWO BLUE VORTEX-』が提示する最大の人間ドラマのテーマと言えます。