1970年代から1980年代にかけて、日本のレジャー・アミューズメント産業は空前の団体旅行ブームに沸いていた。社員旅行や町内会の慰安旅行で温泉地へ押し寄せた観光客の二次会、三次会の受け皿として、秘宝館は全国の主要観光地に次々と建設されたのである。北海道から九州に至るまで、ピーク時には全国で数十箇所もの施設がしのぎを削り、連日観光バスが横付けされる光景が日常だった。
だが、バブル崩壊を境に日本の観光産業は構造的な大転換を余儀なくされる。社員旅行などの団体旅行需要は激減し、個人旅行やファミリー層を中心とした体験型観光へとシフト。さらにコンプライアンス意識の高まりやインターネットの普及により、わざわざ遠方の温泉地まで「性」をテーマにした見世物を見に行く動機そのものが急速に薄れていった。
莫大な敷地面積と凝ったギミックの維持費、建物の老朽化、そして後継者不足。幾重もの逆風が重なり、全国の施設は次々と閉館へと追い込まれていったのである。