2017年に公開された実写映画『銀魂』は、最終興行収入38.4億円を突破し、同年の邦画実写ナンバーワンヒットを記録しました。豪華絢爛なキャスト陣の中でも、公開直後からSNSを中心に「スクリーンに本物の土方がいる」と騒然となったのが、柳楽優弥が体現した土方十四郎の立ち姿です。
原作における土方は、真選組を統率する冷厳な規律の番人であり、常に煙草を咥えたニヒルな佇まいが象徴的です。柳楽はこのキャラクターを構築するにあたり、単なるコスプレ的な外見の模倣を完全に超越していました。特筆すべきは、喉の奥から絞り出すような低音のトーンと、一切の迷いを削ぎ落とした「視線の配分」です。刀の柄に手をかける所作ひとつをとっても、長年の修練を感じさせる居合の重みを感じさせ、画面に映るだけで劇中の空気を引き締める求心力を生み出しました。
映画情報メディアや当時のファンコミュニティでは、「二次元のキャラクターが持つ鋭利な影を、三次元の生身の肉体に落とし込む解像度が異常に高い」との声が相次ぎました。単に原作のコマをなぞるのではなく、土方が背負う武士としての矜持と不器用な人間味を、わずかな口角の動きや呼吸の浅深で表現し切った点こそが、観客を平伏させた核心です。