勝敗の分かれ目は第2ラウンド2分14秒。前王者が得意とする右ストレートの打ち終わりに潜んでいた。挑戦者は幾度となく被弾を覚悟で間合いを詰め、王者の踏み込み癖を徹底的に分析していたという。セコンドからの「今だ!」という悲鳴にも似た指示と同時に繰り出されたカウンターは、まさに研ぎ澄まされた本能と戦術の結実だった。
バックステージでの記者会見で、新王者は興奮を隠せない様子で語った。「何度も映像を見返して、あの瞬間しか勝機はないと分かっていた」。王者のガードがわずか数センチ下がったその一瞬の隙を見逃さなかった洞察力。これこそが、世界最高峰のリングで頂点に立つ者にしか許されない直感と技術の融合だ。