日本のテレビドラマ史において、視聴者の記憶にこれほど深く刻まれたアイコンは稀だろう。名セリフとともに社会現象となった『半沢直樹』シリーズで見せた爆発的なエネルギーは、テレビというメディアの可能性を土壇場で再定義してみせた。しかし、彼が真に異彩を放つのは、その大ヒットの余韻に一切留まろうとしない姿勢だ。
壮大な海外ロケと綿密なサスペンス構造で視聴者を魅了した『VIVANT』では、二重人格という極限の難役を演じ分け、日本エンターテインメントのスケール感を根底から覆した。一歩間違えれば誇張に終わるキャラクターに説得力と生々しい血通いを与える技術。それは、単に技術的な器用さではなく、作品全体を俯瞰しながら己の役割を冷徹に計算し尽くす大局観があってこそ成立するものだ。