ジョセフ・ゴードン=レヴィットが演じたジョン・ブレイクという青年は、従来のスーパーヒーロー映画における「お決まりの相棒像」とは一線を画していた。タイツを着て派手なアクションを繰り広げる少年ではない。自らの足で現場を駆け、不条理な現実に苦悩しながらも正義を信じようとする、一人の生身の警察官だ。
同じ孤児院育ちとしてブルースの隠された正体を見抜いていたロビン(ジョン・ブレイク)は、精神的な意味でバットマンの最も近しい理解者だった。ノーラン監督は彼を通じて、「バットマンとは特定の個人ではなく、誰でもなり得る象徴(シンボル)である」というトリロジー最大の哲学を具現化した。タイトルの回収とも言えるこのキャラクター配置は、ハリウッドの脚本術における最高峰の仕掛けとして今なお語り継がれている。