朝ドラの歴史において、今後未来永劫破られることがないと断言される大記録が1983年放送の『おしん』です。『朝ドラ歴代最高視聴率ランキング』における圧倒的首位の座は、まさに別格の数字を叩き出しています。
単一エピソードで62.9%、全話通じた平均でも52.6%を叩き出した『おしん』は、日本国内だけでなく世界70カ国以上で放送され、世界規模の熱狂を呼びました。極貧から立ち上がる主人公の不屈の闘志は、高度経済成長期の日本に忘れ去られようとしていた「耐え忍び前を向く心」を鮮烈に思い出させたのです。
一方、数字の比較だけでは測れないのが「朝ドラ歴代最高傑作の評判」です。視聴率全盛期とは異なる2000年代以降の作品群の中で、視聴者の記憶に深く刻まれている作品には共通した特徴が存在します。
筆頭に挙がるのが、2011年後期の『カーネーション』(尾野真千子)。世界的なファッションデザイナー・コシノ三姉妹の母をモデルにした小篠綾子の強烈な生き様を、渡辺あやの妥協のない骨太な脚本で描ききり、向田邦子賞を受賞。後年のアンケート調査でも「最も品格と熱量がある神作」として名指しされ続けています。
日本初の女性弁護士・裁判官の足跡を描いた『虎に翼』(伊藤沙莉)もまた、現代に通じる法の下の平等やフェミニズム、差別の構造に真正面から切り込み、毎朝の視聴者の胸を衝く鋭利なセリフで大きな話題を呼びました。単なる予定調和のサクセスストーリーではなく、矛盾や葛藤を抱えながらも泥臭く生きる主人公の姿こそ、国民が「傑作」と認定する必須条件です。