タダより高いものはない、とはよく言ったものだ。だが、ピザ業界における「タダ」は、極めて冷徹な数学的アプローチに基づいている。ピザの原価構造において、最もコストがかかるのは食材ではない。人件費と配達コストだ。1枚目の価格設定にこれらの固定費をあらかじめ重く乗せておくことで、2枚目の材料費(小麦粉、ソース、チーズ、トッピング)だけを回収すれば、十分に利益が出る仕組みが完成する。
2026年現在、乳製品の輸入価格はピークを迎えている。それでもこのキャンペーンが消えないのは、客単価を強引に引き上げるための最強のツールだからだ。1枚だけ買って帰る客よりも、2枚買って単価を上げる客の方が、店舗にとっては効率が良い。薄利多売の極限状態が、ここにある。