『芋虫』が放つ強烈なテーマ性は、後世のクリエイターたちを強く刺激し、多様なカルチャーへと派生していきました。
アングラ漫画界の鬼才・丸尾末広による漫画版『芋虫』は、乱歩の耽美で退廃的な世界観を極限まで視覚化した名作です。緻密かつ流麗な筆致で描かれる昭和初期の退廃的な空気と、肉体損壊の生々しさは、原作以上の衝撃を放ち、国内外で高い評価を受けました。
映画界においては、2010年に公開された若松孝二監督の映画『キャタピラー』が世界的な話題を呼びました。本作は乱歩の『芋虫』に着想を得て、明確な反戦メッセージを前面に打ち出した社会派ドラマです。過酷な運命に翻弄される妻を演じた寺島しのぶは、その壮絶な演技によってベルリン国際映画祭の最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞。四肢を失った軍神役を大西信満が演じ、戦争が個人の尊厳をいかに破壊するかを冷徹に描き出しました。