巨匠アラン・メンケンが作曲したスコアの凄みは、ポップミュージックのキャッチーさと、重厚なクラシック・オペラの神聖さを融合させた点にある。劇中で何度もリフレインされる「ノートルダムの鐘(The Bells of Notre Dame)」をはじめとする楽曲には、カトリックの伝統的なラテン語聖歌『ディエス・イレ(怒りの日)』や『キリエ(憐れみの賛歌)』のフレーズが効果的に組み込まれている。
登場人物たちが個人的な情念や苦悩を歌い上げる背景で、聖歌隊による厳かなラテン語のコーラスが重なり合う。この重層構造によって、個人のドラマが瞬時にして人類全体の原罪や救済を巡る大いなる試練へと昇華される。音楽と歌詞が組み合わさることで、観客は大聖堂のステンドグラスから差し込む光と影を体感するかのような錯覚を覚えるのだ。