熊本随一の繁華街として知られる熊本市の中央街。活気あふれる下通商店街のアーケードから一歩脇道へそれると、細い路地には古びた木の引き戸や、控えめに灯る行灯が並ぶ。
夕暮れ時を過ぎると、どこからともなく香ばしい炭火の匂いが漂い始める。観光客で賑わう大通りとは対照的に、路地裏の居酒屋は仕事帰りのビジネスマンや地元の常連客で埋め尽くされる。このエリアの面白さは、昭和の風情を残す大衆的な店と、現代的なモダンカウンターが隣り合わせで共存している点にある。
煙に巻かれながら焼酎のグラスを傾ける昔ながらの酒場もあれば、ワイングラスで熊本の地酒やクラフトビールを合わせる洗練された空間もある。どの扉を開けても共通しているのは、地元産の新鮮な食材に対する絶対的な誇りだ。下通商店街の奥深くに広がるこの迷宮のような路地こそ、熊本の食の心臓部といっていい。