昭和の水着トレンドを比較すると、時代の空気感がデザインに直接投影されていたことがよく分かります。1970年代初頭までは、肌の露出を極力抑えたワンピース型や、どこか素朴さの残るビキニが主流でした。1975年にアグネス・ラムが登場して健康的な小麦色の肌とグラマラスなビキニ姿が脚光を浴びたものの、カッティング自体はまだ穏やかなものでした。
転換点となったのは1980年代半ばです。好景気の波に乗ったバブル期ハイレグファッションは急速にエスカレートしていきました。水着メーカー各社は毎年のように股上の深さを競い合い、カッティングは骨盤の位置を軽々と越えてウエストラインに到達。極限まで切れ上がったものは「ウルトラハイレグ」「スーパーハイレグ」と呼ばれ、ビーチカルチャーの覇権を握りました。
素材面でも大きな技術革新がありました。伸縮性に優れたポリウレタン繊維(スパンデックス)の進化により、激しく動いてもズレにくく、ボディラインに完璧に吸い付く光沢感のあるメタリック素材やネオンカラーの水着が次々と登場。昭和末期のプールやリゾートビーチは、極彩色のハイレグに身を包んだ女性たちで埋め尽くされることになります。