日本社会において恋愛と結婚が切り離して議論されるようになった背景には、メディアやカルチャーによる意識のアップデートがある。かつて社会現象となったドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』は、雇用関係としての契約結婚を軽快なヒューマンドラマとして描き、従来の婚姻モデルに対する疑問符を投げかけた。
さらに決定的な転換点となったのが、脚本家・吉田恵里香が手がけ、高橋一生と岸井ゆきのが主演を務めたドラマ『恋せぬふたり』だ。他者に恋愛感情も性的欲求も抱かないアセクシュアルの男女が家族を目指す姿を丁寧にすくい取ったこの作品は、NHKオンデマンドやNetflixなどの配信プラットフォームを通じてロングランの反響を呼び続けている。「恋愛至上主義」のプレッシャーに息苦しさを感じていた多くの視聴者にとって、性愛を介さない強固な結びつきは、絵空事ではなく現実の選択肢として可視化された。