向田邦子の命を奪った惨事は、台湾の空で起きた遠東航空103便墜落事故であった。台北から高雄へと向かう国内便として運航されていたボーイング737型機が、離陸からわずか十数分後に上空で突然空中分解を起こしたのである。
後の事故調査委員会による解析で明らかになったのは、遠東航空機体に蓄積した著しい胴体下部の構造疲労と腐食だった。かつて海水輸送等に使われていた履歴もあり、機体の塩害劣化が限界に達していたことが原因と判明する。安全管理の盲点が引き起こしたこの悲劇は、全世界の航空業界に対して機体整備と検査基準の大幅な見直しを迫る契機となった。