日本の精神風土の根幹には、自然そのものを神として崇める「山岳信仰」が深く息づいている。山は単なる地形ではなく、異界と現世をつなぐ境界であり、命の水をもたらす神聖な領域とみなされてきた。
その中心となる存在が、山々を司る主祭神「大山祇神」だ。全国の神社や三島神社系の総本社に祀られるこの偉大な神は、山の恵みのみならず、鉱山や農業、ひいては航海や勝利の神としても崇敬を集めてきた。富士山をはじめとする雄大な霊峰の麓や山頂にも、この神を祀る社が静かに鎮座している。
巨木や奇岩を取り囲むピンと張り詰めた気配は、古くからの修験者たちが命懸けで祈りを捧げてきた歴史の堆積そのものだ。参道を一歩進むごとに、身体の芯から生命力が湧き上がる感覚を覚えることだろう。