「片手の爪の長さ」で世界記録を保持していたインドのシュリダール・チラル氏の執念も、語り継がれるべき伝説だ。1952年、学校の先生に誤って爪を折られて激怒されたことをきっかけに「爪を伸ばし続けることがいかに大変か証明してやる」と一念発起。以来、左手の爪を66年間伸ばし続け、その総延長は909.6センチメートルに達した。
だが、その代償は想像を絶するものだった。数十年にわたり左手にかかり続けた膨大な重量によって、左手の指は永久的に変形し、左耳の聴力を完全に失うという深刻な後遺症を負ったのだ。2018年、82歳になった彼は苦渋の決断を下し、ニューヨークの会場で電動工具を用いて爪を切断した。長年の重圧から解放された瞬間、彼の表情には安堵と一抹の寂しさが混ざり合っていた。