軍事拠点としての激動を乗り越えたニューブリテン島東部を、1994年9月に再び未曾有の災厄が襲いました。ラバウル湾を取り囲むタブルブル火山(花吹山)とブルカン火山(西山)が同時に大噴火を引き起こしたのです。街全体が数メートルに達する大量の火山灰に覆われ、植民地時代から栄えた美しい港町ラバウルは一瞬にして壊滅状態に陥りました。
この未曾有の自然災害が引き金となり、東ニューブリテン州の行政機能および商業インフラは、火山灰の影響を受けにくい南東約20kmに位置するココポ(Kokopo)への全面移転を余儀なくされました。これが現在に至るココポへの州都移転理由です。移転後、トクア空港(ラバウル空港)の再建とともにココポは急速に発展を遂げ、官公庁、銀行、大型リゾートホテル、近代的なスーパーマーケットが集まる新たな都市基盤が完成しました。
一方、かつての中心地ラバウルは「ゴーストタウン」の様相を呈しながらも、港湾機能の一部や戦跡保存地域として息を吹き返しています。タブルブル火山の現在の様子は、2014年の中規模噴火以降は小康状態を保っており、山肌から白い噴煙が立ち上るダイナミックな景観を観察できるジオパーク的な観光地として整備されています。火口付近の温泉(ホットスプリング)や、火山灰に埋もれた旧市街の遺構は、自然の猛威と人間の歴史が交錯する特異な景観を作り出しています。