首相官邸の内部には、一般には決して明かされない空気の掟がある。その中心に君臨するのが首相官邸記者クラブだ。日々のぶら下がり取材から定例記者会見に至るまで、発言の機会は厳格にコントロールされ、あらかじめ質問内容の擦り合わせが行われるケースも珍しくない。内閣官房の広報担当者と大手各社の記者たちが醸し出す独特の親密さは、緊張感ある追及の場を時として儀礼的なセレモニーへと変質させる。
クラブに属さないフリーランスやネットメディアの参入は極めて制限的だ。権力側に都合の悪い追及を避けるための防波堤として、この閉鎖的なクラブ制度が機能してきた側面は否定できない。情報に最も近い場所にいる者たちが、皮肉にもその情報を厳重に囲い込み、外部へのアクセスを遮断するゲートキーパーとなっている。