キャスティングの裏には、原作者である秋本治の意向と、制作側の並々ならぬ情熱があった。長年『週刊少年ジャンプ』で愛されてきた両津勘吉のキャラクターは、単なるドタバタ劇の主人公ではない。下町の情に厚く、どこか憎めない人間味が必要不可欠だった。
プロデューサー陣は「下町のオヤジ感」と「圧倒的なバイタリティ」を併せ持つ声を模索した結果、劇団を主宰し演出家としての顔も持つラサール石井に行き着いた。実際の放送が始まると、秋本治自身も「原作のコマからそのまま飛び出してきたようだ」と絶賛。単なる声の吹き替えにとどまらず、キャラクターの生き様そのものを表現した演技が、漫画ファンとアニメファンの双方を納得させる決め手となった。