事態を重くみた公的機関も動き出している。厚生労働省は従来の「水分補給の推奨」から一歩踏み込み、極端な多量飲水のリスク周知を強化中だ。さらに、世界保健機関 (WHO) と国際的な専門家チームが連携して立ち上げた「水分補給安全ガイドラインプロジェクト」では、過度な水摂取が引き起こす電解質障害のリスク管理基準を策定。単に水分の量を増やすだけの補給行動に対し、明確な警鐘を打ち鳴らしている。
この国際ガイドラインが求めるのは、一人ひとりの活動量や発汗量に応じた「個別化された飲水戦略」だ。運動時や高温下での作業時には、水単体ではなく電解質を同時に摂取することが不可欠とされる。喉の渇きを感じる前に飲むという啓発が独り歩きした結果、喉が渇いていないにもかかわらず義務感で水を飲み続け、体調を崩す本末転倒な例が後を絶たないためだ。