1973年に広島県で生を受けた佐藤克久は、若くして美術の道を志し、愛知県立芸術大学へ進学しました。1990年代後半の日本のアートシーンは、インスタレーションや映像メディアが急速に台頭していた時期にあたります。その潮流の中で、佐藤は一貫して「絵画というフォーマット」そのものの可能性を探求し続けました。
1999年に同大学院美術研究科油画専攻を修了。愛知を拠点としながら、具象と抽象の境界線を問い直す独自の表現を立ち上げます。キャンバスに向かい、色彩と線、そして支持体そのものの関係性を丹念に再構築する作業。この形成期における実験精神が、後の作品群に見られる軽やかさと深みの共存を生み出しました。