製パン愛好家の間では「米粉パンには熊本製粉のミズホチカラ一択」という言説が定着しています。しかし、なぜ他のスーパーで売られている米粉ではダメなのか、その理由を正確に把握している人は多くありません。
米粉がパンとして膨らむかどうかは、米の「品種」と「製粉方法」によって決定づけられます。パン用として開発されたミズホチカラで作る米粉パンが支持されるのは、デンプン損傷度が5%以下と極めて低く、粒度が細かく揃っているためです。一般的な料理用・菓子用の米粉(コシヒカリやうるち米を従来製法で挽いたもの)は、デンプン損傷度が10%を超えているケースが少なくありません。傷ついたデンプンは余計な水分を過剰に吸い込み、生地が重くドロドロになって発酵ガスを支えきれなくなります。
ただし、「ミズホチカラなら何でも良い」と盲信するのは危険です。パッケージに「パン用」と明記されているものは、製パン適性に優れた微細粉末に調整されていますが、同じミズホチカラ原料でも菓子用や一般調理用として製粉された製品を使うと、全く膨らまない事態に陥ります。銘柄の名前だけでなく、「パン用・気流粉砕」の表示を確認することこそが失敗をゼロにする境界線です。