うま味の歴史は、1908年に日本の化学者・池田菊苗博士が昆布出汁から「グルタミン酸」を抽出し、それが甘味・酸味・塩味・苦味に続く「第5の味覚=うま味」であることを発見したことから始まった。この世界的な偉業が、後の製品化へとつながっていく。
しかし1968年、アメリカの医学誌に掲載された一通の投稿が大きな波紋を呼んだ。中華料理を食べた後に食欲不振、顔面の痺れ、動悸、頭痛などを訴える症状が報告され、「中華料理店症候群(チャイニーズ・レストラン・シンドローム)」と名付けられたのだ。当時大量に使われていた調味料が原因ではないかと疑われた。
この一件を契機に世界中で大規模な臨床試験が実施されたが、二重盲検プラセボ対照試験をはじめとする厳密な比較実験において、MSG(グルタミン酸ナトリウム)と症状発生との間に再現性のある因果関係は証明されなかった。今日では、中華料理店症候群は過剰なナトリウム(塩分)や油分、あるいは精神的な先入観が複合的に作用した可能性が高いと考えられている。