作者である吾峠呼世晴が紡ぎ出した物語は、従来の少年漫画にありがちな単純な勧善懲悪の構図を根底から崩した。本作が極めて質の高いダーク・ファンタジーとして評価される理由は、キャラクターたちが背負う死の重みと、命のバトンタッチが残酷なまでにリアルに描かれている点にある。
胡蝶カナエの死もまた、ハッピーエンドのための便宜的な悲劇ではない。彼女の死によって生じたしのぶの復讐心と葛藤、そしてカナヲが自我を取り戻していく成長劇。過酷な運命を受け入れつつも未来へと希望を繋ぐストーリーテリングこそが、世界中の読者の胸を打ち続ける最大の要因と言えるだろう。