大相撲の土俵は単なる競技空間ではない。神道に基づき、塩で清められた本物の聖域として今日まで継承されてきた。歴史のページをさかのぼれば、江戸時代に興行として庶民を沸かせた「女相撲」が存在した事実もある。しかし、近代以降に組織化が進む中で、伝統芸能としての格式を守る理念がより強固になった。
自治体首長などの女性要人が土俵上で表彰を行う可否をめぐり、たびたび社会的な議論が紛糾してきた。神事としての伝統美と現代社会における多様性の尊重――この二つの価値観が正面から衝突するたびに、土俵のあり方はメディアの格好の標的となってきた。