目の下に黒いグリースを塗ったりシールを貼ったりする最大の目的は、「太陽光や照明光の反射による眩しさの防止」です。人間の顔の骨格構造上、目のすぐ下にある「頬骨(きょうこつ)」の部分は前方へ緩やかに隆起しています。直射日光や上空からの強い光がこの頬骨に当たると、皮膚の脂分や汗によって光が乱反射し、上方にある瞳孔へ下から余計な光が差し込む現象が起きます。
下方向からの予期せぬ照り返しが入ると、目の中の網膜におけるコントラスト感度が著しく低下します。白球を追う外野手や内野手にとって、空の明るさとボールの輪郭のコントラストが曖昧になることは致命的な落球や判断ミスにつながります。そこで光の吸収率が最も高い「黒」を頬骨の上部に配置することで、皮膚表面での光の反射を物理的にシャットアウトし、視界のクリアさを保っているのです。
エール大学の研究チームをはじめとする過去の視覚実験でも、アイブラックを装着した被験者は、何も装着しない状態や白色ペイントを施した状態と比較して、強い光環境下におけるコントラスト識別能力が統計的に有意に向上することが実証されています。単なる見た目のこだわりではなく、人体の光学特性を補正する機能的ツールであることが科学的にも証明されています。