脂肪冷却のビフォーアフターに関してネット上で極端に意見が割れる最大の理由は、この施術が持つ「不可逆的な細胞破壊」と「タイムラグ」という2つの本質にあります。
脂肪冷却(クライオリポライシス)は、ハーバード大学医学部のディーター・マンシュタイン博士らによって開発された医療技術です。水が0℃で凍り始めるのに対し、人間の脂肪細胞(アディポサイト)は約4℃という比較的高い温度で結晶化を始めるという熱力学的特性を利用しています。皮膚や毛細血管、神経組織などの周辺組織には熱的ダメージを与えず、脂肪細胞のみを選択的に冷却してアポトーシス(細胞の自然死)へと誘導する仕組みです。
ここで極めて重要なのが、これはエステサロンのマッサージのような「一時的なむくみ解消」でもなければ、脂肪吸引のような「物理的な即時除去」でもないという点です。凍結破壊された脂肪細胞は、体内のマクロファージ(大食細胞)によって貪食され、数週間から数ヶ月という長い時間をかけてリンパ液や肝臓を経由し、老廃物として体外へ排出されます。
医学論文や厚生労働省の承認審査資料が示す通り、医療ダイエットによる脂肪細胞破壊によって1回の照射で減少する皮下脂肪の厚みは、平均して施術部位全体の約20%から25%です。つまり、つまめる脂肪の厚みが30ミリある人であれば、数ヶ月かけて約6〜7ミリ薄くなる計算になります。この変化は計測数値としては確実な減少ですが、「施術翌日にウエストが5センチ細くなる」といった劇薬的な変化を夢見ていると、「全く変わらない」「効果がない」という主観的な失望につながってしまいます。