きくらげの魅力は何と言ってもあの独特の歯触りです。しかし、乾燥きくらげの戻し方や生きくらげの下処理を誤ると、硬い芯が残ったり、逆にぶよぶよと水っぽくなったりして食感が台無しになります。
乾燥きくらげを戻す際、最も理想的なのは「冷水で約4〜6時間かけてじっくり戻す」方法です。低温で時間をかけて細胞壁を壊さずに吸水させることで、本来の弾力とみずみずしさが完全に蘇ります。しかし、夕食の準備で何時間も待てないケースがほとんどでしょう。
そこで活用したいのが「ぬるま湯+砂糖」による時短テクニックです。約40度のぬるま湯200mlに対し、砂糖を小さじ1/2溶かして乾燥きくらげを浸すと、浸透圧の働きで吸水スピードが加速し、わずか15〜20分程度でふっくらと戻ります。炭酸水に浸す方法も気泡が繊維を押し広げるため非常に有効です。
一方、近年スーパーで流通量が増えている国産の「生きくらげ」を使う場合は、下処理に注意が必要です。生きくらげには微細な雑菌や独特のぬめりが残っている場合があるため、石づき(固い根本部分)を切り落とした後、沸騰した湯で30秒〜1分程度さっと湯通し(ブランチング)してから冷水に取ります。このひと手間で雑味が消え、鮮やかな黒色と格別のプリプリ感が引き立ちます。
なお、乾燥きくらげを戻した後の「戻し汁」には、きくらげから溶け出した水溶性多糖類や微量のエキスが含まれています。捨てずに茶こしで濾して中華スープのだし汁や煮込み料理の水分として活用すると、料理全体のコクが一段深まります。