ショックの5P完全攻略|覚え方と血圧低下を待たない現場の判断術

ショックの5P完全攻略|覚え方と血圧低下を待たない現場の判断術

ショックの5P完全攻略|覚え方と血圧低下を待たない現場の判断術にまつわる役立つ知識を分かりやすく発信ます。

「ショックの5P」は外傷性出血や心原性ショックには典型的に当てはまりますが、現代の救命救急センターにおいて最も頻繁に遭遇する敗血症性ショックやアナフィラキシーショックでは、初期像が教科書の記述と真っ向から乖離します。ここを理解していないと、現場のトリアージで致命的な見落としを犯します。

都内三次救急医療センターの集中治療医は、臨床のリアルを次のように語ります。

「救命講習や国試対策で『皮膚が青白く冷たいのがショック』と刷り込まれた若手スタッフが、敗血症初期の患者を見て『皮膚が赤くポカポカ温かいからショックではない』と判断を誤る事例が後を絶ちません。敗血症性ショックの初期は、炎症性サイトカインの暴走で末梢血管が拡張するウォームショック(Warm Shock)から始まります。皮膚は潮紅し、むしろ熱感があり、脈拍も力強く跳ねる(反跳脈)。5Pの『蒼白』『冷汗』とは真逆のフェーズが存在するのです」

Surviving Sepsis Campaign Guidelines(SSCG)でも強調されている通り、敗血症性ショックの診断基準においては、皮膚所見よりも高乳酸血症(血清乳酸値 ≧ 2.0mmol/L)や、十分な細胞外液負荷後も平均動脈圧(MAP)65mmHg以上を維持するために血管収縮薬を必要とする病態が本質とされます。

また、ハチ刺症や薬剤投与後に起きるアナフィラキシーショックの初期症状においても、全身の蕁麻疹、口唇・眼瞼の浮腫、喉頭浮腫による喘鳴(Stridor)が先行し、いきなり脈拍消失や呼吸不全へと数分単位で急変します。5Pという枠組みは、あくまで「低灌流が極まった終末共通経路」を捉える指標であり、病態分類ごとの特殊性を重ね合わせてアセスメントする柔軟性が不可欠です。

橋本 菜々子
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橋本 菜々子

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。