インターネット上では時折、「裏名義で活動している声優は、一般のアニメに出てはいけない契約になっている」といった誤った言説が見受けられます。しかし、これは業界の実態とは乖離した誤解です。
日本の声優業界において、名義の使い分けはタレント自身のブランディングや所属事務所の方針、あるいはレーティングに応じたゾーニングのために行われるマネジメント手法です。事務所によって「成人向け作品への出演を原則許可しない」「出演時は裏名義を使用する」「全年齢化の際は正規の表名義で契約を結び直す」といった内規が細かく定められています。
『ぬきたし』のアニメ化に際して懸念されたのは、「作品の設定があまりにも過激なため、全年齢アニメであっても事務所サイドが出演を敬遠するのではないか」という点でした。しかし、本作の本質は下ネタをギミックとして用いた「理不尽な全体主義への反逆」と「熱血バトル」です。近年の配信プラットフォーム主導の深夜アニメ市場では、エッジの効いた尖った作品こそが国内外で高い収益を上げる傾向にあり、過激さを理由にキャストが辞退するリスクは杞憂に終わりつつあります。