妓夫太郎の戦闘能力は、歴代の鬼殺隊士たちを絶望の底に叩き落としてきました。彼が操る血鬼術の主軸は、自身の血を凝縮・硬化させて放つ鎌型の斬撃と、刃に塗布された「致死性の猛毒」です。
「飛び血鎌」は、放たれた後も妓夫太郎の意志によって自由自在に軌道を変え、標的を執拗に追尾します。さらに広範囲を破壊する「円斬旋回・飛び血鎌」など、防御不能の斬撃が縦横無尽に空間を埋め尽くします。音柱・宇髄天元のように毒への耐性を持つ忍びですら徐々に身体を蝕まれ、炭治郎もわずか一撃のかすり傷で即座に死の淵へ立たされました。常人であれば、掠り傷ひとつ負った時点で数分持たずに絶命するほどの猛毒です。
そして、彼らを上弦の座に君臨させ続けた最大の防壁が、「兄妹同時に頸を刎ねなければ滅びない」という特殊ルールでした。片方の頸を斬り落としても、もう片方が生存していれば即座に再生を開始します。単独での撃破は論理的に不可能であり、最低でも2人以上の手練れが、極めてシビアなタイミングを合わせて同時に頸を斬らなければなりません。
鬼舞辻無惨自身が戦後に「最初から妓夫太郎だけで戦っていれば勝てていた」と吐き捨てた通り、堕姫という「守るべき弱点」を抱えていたこと自体が、彼にとって唯一にして致命的な敗因となりました。妹への無償の愛が彼を強くし、同時にその愛が彼の敗北を決定づけたという事実は、この戦いを一層切ないものにしています。