演劇界や映像の世界で「カメレオン俳優」と呼ばれる人物は少なくない。しかし彼の場合、その形容すら生ぬるいと感じさせるほどの変貌ぶりを見せる。時代劇での重厚かつ冷徹な武将役から、現代劇での狂気を孕んだトリックスター、あるいはクスッと笑わせるコメディラインまで、その振れ幅に限界がない。
役に没入するあまり自分を見失うタイプではない。むしろ極めて客観的で、冷徹なまでに作品全体における自身の「機能」を計算し尽くしている。だからこそ、どんなにエキセントリックな役柄であっても、唐突感を抱かせず物語にスッと馴染ませる。この高度な制御技術こそが、彼の怪演を単なる奇を衒った演技から一線を画すものにしている。