既成概念を鮮烈に打ち破ったのが、テレビ朝日とフジテレビがそれぞれ放った二大怪作だった。『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』において、米倉涼子が演じた孤高のフリーランス外科医は、従来の医療ドラマが描いてきた医局の忠誠心や組織のヒエラルキーを真っ向から切り捨てた。「私、失敗しないので」という台詞は、単なる決め台詞を超え、閉塞した組織社会で喘ぐ視聴者にとって痛快無比な宣戦布告として響いた。
一方、古沢良太の神がかり的な脚本と堺雅人の超絶技巧の早口弁舌が炸裂した『リーガル・ハイ』は、法廷ドラマの倫理観を根底から覆した。「正義は金で買える」「醜さを愛せ」と言い放つ弁護士・古美門研介の姿は、薄っぺらなヒューマニズムを嘲笑しながらも、皮肉にも人間の真実を浮き彫りにした。善悪二元論を脱ぎ捨てたこれら2作の成功によって、日本のテレビドラマは一気に成熟期へと舵を切った。