年収水準を決定づける最大の要素は「個人の能力」ではなく「どの業界のどのポジションに身を置くか」です。給与水準が高い業界には共通する3つの経済的メカニズムが働いています。
第1に「高い粗利益率と低い限界費用」です。金融、コンサルティング、ソフトウェア(SaaS)業界は、原材料の仕入れや巨大な製造設備を必要としません。売上から差し引かれる原価が極めて小さいため、売上の大部分を人件費や研究開発費に投資できます。
第2に「取引規模(ディールサイズ)の巨大さ」です。総合商社、信託銀行、投資銀行、大手不動産デベロッパーなどは、1回の取引で数十億から数千億円単位の資金を動かします。わずか数パーセントの手数料や利ザヤであっても莫大な利益が手元に残るため、従業員1人あたりに分配される給料が跳ね上がります。
第3に「法規制や専門知識による強固な参入障壁」です。製薬会社の研究職や金融デリバティブ開発、エネルギー開発などは、新規参入が極めて困難な寡占市場を形成しています。競争相手が制限されているため価格決定権を握りやすく、高水準の利益を長期間維持できるのです。