1点ビハインドで迎えた9回裏。すでに2死となり、相手投手の走者なしからのウィニングショットを待つばかりの静寂が球場を包んでいた。打席に入ったのは4番打者。極限のプレッシャーの中、カウント2-3からの粘りは凄絶だった。
ファールで相手の勝負球をことごとく弾き返し、投じられた8球目の甘い直球を鋭く振り抜く。快音を残した打球は右中間を深々と破った。激走する二塁走者が一気にホームへ飛び込み、土壇場での同点。さらに続く5番打者の左前適時打により、ドラマチックなサヨナラ勝ちが完成した。
「誰も諦めていなかった」。試合後のインタビューで主将は声を詰まらせた。ベンチの誰もが声を張り上げ、最後の最後まで勝利の可能性を疑わなかったメンタリティこそが、この奇跡を引き寄せたのだ。